詰め物が取れた時の対処法|まずやること・NG行動
2026.07.29
食事をしていたら、急に「ポロッ」と何かが取れた——口の中に硬いものが残り、思わず焦ってしまう。詰め物や被せ物が取れる場面は、多くの方が一度は経験するトラブルです。
痛みがないと「そのうち行けばいい」と後回しにしたくなりますが、取れたまま放っておくと、内部で虫歯が静かに進んでしまうことがあります。逆に、慌てて自分で戻そうとすると、かえって状態を悪くしてしまうことも少なくありません。
西大島ハートフル歯科は、「痛くない・安心して通える」治療を大切にしています。この記事では、詰め物・被せ物が取れたときに、まず落ち着いてやるべきこと、やってはいけないこと、そして受診の目安まで、順を追ってやさしくお伝えします。読み終えるころには、来院前の不安がやわらいでいるはずです。
この記事のポイント
- 取れたものは捨てずに保管。破損がなければ再装着できる場合があります
- 市販の接着剤で自分で付け直すのは避けてください(かえって悪化します)
- 取れた側で強く噛まない・患部を触りすぎない・飲み込みに注意
- 痛みがなくても、内部で虫歯が進むため放置は禁物
- 強い痛みや大きな欠けはすぐ、症状がなくても数日以内の受診が目安
詰め物が取れたら、まず何をすればいい?
まず落ち着いて、「口の中から取れたものを出す」「捨てずに保管する」「取れた側で噛まない」の3つを行い、痛みがなくても数日以内に受診してください。詰め物・被せ物が外れること自体はよくあるトラブルで、多くは慌てて対応する必要はありません。
ひとつめは、口の中に残ったものを飲み込まないよう、そっと取り出すこと。ふたつめは、取れたものを捨てずに保管すること。みっつめは、取れた部分を舌や指で必要以上に触らないことです。
取れた部分は、歯の内側のやわらかい層(象牙質)がむき出しになっていることがあります。ここは刺激に弱く、触りすぎると汚れや細菌が入りやすくなります。うがいをするときは、ぬるま湯で軽く行うと安心です。
おさえておきたいこと
取れたものを口に入れたまま食事や睡眠をとると、誤って飲み込んだり、気道に入ってしまう危険があります。取れたと気づいたら、まず口の中から出しておくことが大切です。
取れた詰め物・被せ物は、どう保管する?
きれいに外れたものは、水洗いして水分を拭き取り、小さなケースやチャック付きの袋に入れて持参します。破損がなければ、元の詰め物・被せ物をそのまま戻せることがあるからです。
保管のポイントはシンプルです。水洗いして軽く汚れを落としたら、水分を拭き取り、小さなケースやチャック付きの袋に入れておきます。ティッシュに包むと、うっかり捨ててしまいやすいので避けましょう。
金属やセラミックの被せ物は、落とすと欠けることがあります。受診の日まで、なくさない場所にまとめて置いておくと安心です。

詰め物が取れたら、やってはいけないことは?
「市販の接着剤で付け直す」「取れた側で強く噛む」「飲み込む」「痛くないからと放置する」の4つは避けてください。良かれと思ってやったことが、かえって治療を難しくしてしまうことがあります。
ひとつめは、市販の接着剤や瞬間接着剤で自分で付け直すこと。家庭用の接着剤は口の中で使うことを想定しておらず、歯や歯ぐきを傷めるおそれがあります。さらに、汚れや細菌を閉じ込めたまま蓋をすることになり、内部で虫歯が進みやすくなります。無理に戻すと、本来なら元の詰め物を戻すだけで済んだものが、作り直しになってしまうこともあります。
ふたつめは、取れた側の歯で強く噛むこと。詰め物が外れた歯はもろくなっており、硬いものを噛むと欠けたり割れたりしやすい状態です。しばらくは反対側で噛むようにしましょう。
みっつめは、取れたものを飲み込まないよう注意すること。小さな金属片は、うっかり飲み込みやすいものです。前述のとおり、まず口から出しておきます。
よっつめは、「痛くないから」と長期間放置すること。症状がなくても、むき出しの部分から虫歯が進行していきます。
市販の入れ歯安定剤や接着剤で「応急的に貼り付ける」のは避けてください。ぴったり合っていない状態で固定すると、噛み合わせが狂ったり、外れたときに再装着できなくなったりすることがあります。応急処置はあくまで一時的なものと考え、自己判断で治そうとしないことが大切です。
詰め物が取れてしみる・痛いときの応急ケアは?
熱い・冷たい飲食物を避けて常温に近いものを選び、患部を触りすぎないことです。詰め物が取れると、刺激に弱い象牙質がむき出しになり、しみたり痛んだりしやすくなります。
受診までのあいだは、熱すぎる・冷たすぎる飲食物を控え、常温に近いものを選ぶとしみにくくなります。刺激の強い甘いものや酸っぱいものも、痛みが出やすいので控えめにしましょう。
痛みが強いときは、市販の鎮痛剤を用法・用量を守って使う方法もあります。その場合も、痛みを抑えることが目的であって、治すものではない点に注意してください。取れた部分のフチが鋭く、舌や頬に当たって痛いときは、その部分を無理にこすらず、当たらないよう気をつけながら早めに受診しましょう。
放置するとどうなる?早めの受診が大切な理由
取れたまま放置すると、むき出しの部分から虫歯が進み(二次う蝕)、歯が欠けたり、神経に達して大きな治療が必要になったりします。実際、むし歯は永久歯を失う原因の約3割(8020推進財団 第2回抜歯原因調査・2018年/う蝕29.2%)を占め、その多くは詰め物の下などで静かに進みます。
まず、むき出しになった部分から、内部で虫歯が進みます(二次う蝕)。表面からは見えにくいため、気づいたときには深くまで進んでいることがあります。次に、支えを失った歯そのものが欠けやすくなります。同じ調査では**破折(歯の割れ)が抜歯原因の17.8%**を占めており、噛む力がかかるたびにダメージが蓄積していきます。
さらに進むと、虫歯が神経に達し、痛みが強く出たり、神経を取る大きな治療が必要になったりします。早く受診していれば元の詰め物を戻すだけで済んだものが、作り直しや、より大がかりな治療になってしまうのは、とてももったいないことです。
早めに来ていただくほど、選べる治療の幅も広がり、体への負担も小さくなります。これは、日ごろの予防歯科の考え方とも共通しています。
受診の目安|すぐ行く?数日以内でいい?
強い痛み・大きな欠け・歯ぐきの腫れがあれば当日〜できるだけ早く、しみる程度や症状がない場合でも数日以内が受診の目安です。迷ったときは電話で相談していただくのが確実です。
| 状態 | 受診の目安 |
|---|---|
| 強い痛みがある・ズキズキ続く | できるだけ早く受診 |
| 大きく欠けた・歯が割れている | できるだけ早く受診 |
| 歯ぐきの腫れや出血がある | できるだけ早く受診 |
| フチが鋭く舌や頬を傷つける | 早めに受診 |
| しみる程度で強い痛みはない | 数日以内を目安に受診 |
| 痛みなどの症状はまったくない | 症状がなくても数日以内に受診 |
大切なのは、症状の有無にかかわらず、放置しないことです。痛みがない場合でも、内部では虫歯が進むため、「そのうち」ではなく早めのタイミングでご来院ください。
「歯医者は怖い」という方へ
詰め物が取れると、「また削られるのかな」「痛い治療になったらどうしよう」と、受診そのものが不安になる方もいらっしゃいます。
当院の院長自身が、実は治療が苦手でした。だからこそ、「痛くない・安心して通える」治療を診療の軸に据えています。取れた原因を確認し、できるだけ歯を残す方法を一緒に考えていきますので、まずは気軽にご相談ください。詳しくは痛みの少ない・削らない治療や一般歯科のページもご覧いただけます。
よくある質問
Q. 取れた詰め物は、また使えますか?
A. 欠けや割れがなくきれいに外れたものは、そのまま戻せる場合があります。使えるかどうかは診察して判断しますので、捨てずにお持ちください。
Q. 自分で接着剤を使って付けてもいいですか?
A. 避けてください。市販の接着剤は口の中に適さず、歯や歯ぐきを傷めたり、内部で虫歯が進んだりする原因になります。再装着ができなくなることもあります。
Q. 痛くないのですが、それでも受診が必要ですか?
A. はい。痛みがなくても、むき出しの部分から虫歯が静かに進むことがあります。症状がなくても、数日以内の受診をおすすめします。
Q. 取れたものをなくしてしまいました。どうすればいいですか?
A. その場合でも問題ありません。診察のうえで、適した方法で治療します。まずはご来院ください。
Q. しみて痛いときは、どうしたらいいですか?
A. 熱いもの・冷たいものを控え、常温に近いものを選ぶとしみにくくなります。痛みが強いときは早めにご連絡ください。
Q. すぐに予約が取れない場合、応急処置はありますか?
A. 取れた側で噛まない・患部を触りすぎない・刺激物を控える、といった過ごし方で受診まで様子を見ていただけます。強い痛みや腫れがあるときは、その旨をお電話でお伝えください。
まとめ
- 取れたものは捨てずに保管。破損がなければ再装着できることがある
- 市販の接着剤で自分で付けない・取れた側で強く噛まない・飲み込みに注意
- しみるときは常温の飲食物を選び、患部を触りすぎない
- 痛みがなくても、内部で虫歯が進むため放置は禁物
- 強い痛みや大きな欠けはすぐ、症状がなくても数日以内の受診が目安
詰め物・被せ物が取れたときの応急処置は、あくまで受診までの一時的なものです。自己判断で治すものではなく、必ず歯科医院で状態を確認してもらうことが、歯を長く残す近道です。西大島ハートフル歯科では、来院前の不安にも配慮しながら対応します。困ったときは、まずお気軽にご連絡ください。

監修:石橋 弘行
西大島ハートフル歯科 院長
日本抗加齢医学会 / 日本口腔インプラント学会 所属。POIインプラント認定医。
祖父・父に続く三代目の歯科医師。日本歯科大学歯学部を卒業後、歯周病・入れ歯・根管治療など各分野で研鑽を積み、2018年に西大島ハートフル歯科を開院。自身が治療の痛みを苦手としてきた経験から、『痛くない・楽に受けられる・安心して通える』治療を追求し、予防を中心に、自分や家族にも納得して施せる快適で長持ちする歯科医療に取り組んでいます。
取れた詰め物・被せ物の再装着の可否や治療方針は、実際のお口の状態を診察したうえで判断します。記事の内容は一般的な目安です。
《出典》厚生労働省 e-ヘルスネット「う蝕(むし歯)」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ 《出典》日本歯科医師会「テーマパーク8020」 https://www.jda.or.jp/park/ 《出典》8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査 報告書」(2018年11月) https://www.8020zaidan.or.jp/pdf/Tooth-extraction_investigation-report-2nd.pdf