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歯科の医療費控除|戻る金額の計算と申告3ステップ

2026.06.12

「インプラントや矯正でまとまった費用がかかった」「家族みんなで歯医者に通った一年だった」——そんな年は、確定申告で 医療費控除 を使うと、納めた税金の一部が戻ってくることがあります。

ところが「手続きが難しそう」「うちは保険診療がほとんどだから関係ないのでは」と、つい後回しにしてしまう方がとても多いのが実情です。実は、医療費控除は自費治療だけのものではありません。保険診療の窓口負担も、通院の電車代も、家族みんなの分も合算できます。

この記事では、西大島ハートフル歯科が「読んだその日に動ける」ことを目標に、歯科の医療費控除をやさしくまとめました。対象になるもの・ならないもの、戻る金額の計算、そして申告までの3ステップまで、順番に確認していきましょう。

この記事のポイント

  • 医療費控除は「1年間に支払った医療費」が一定額を超えると、税金が戻る/軽くなる仕組み
  • 歯科では保険診療も自費(インプラント・かぶせ物・治療目的の矯正など)も対象になりうる
  • デンタルローンや分割払いも、通院の交通費(公共交通機関)も合算できる
  • 生計を同じくする家族の医療費はまとめて申告できる
  • 戻る金額は年収(税率)と医療費の合計しだい。申請しなければ0円のまま(記事内に年収別の目安表あり)
  • 大切なのは「領収書と通院記録を1年分ためておくこと」。今日から始められます

医療費控除とは?歯科でいくら戻るのか

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に、自分や 生計を同じくする家族 のために支払った医療費が一定額を超えたとき、その超えた分を所得から差し引ける制度です。所得が下がる分、納める所得税・住民税が軽くなり、すでに納めた税金の一部が還付されます。

控除できる金額は、次の式で計算します。

確定申告・歯科の医療費控除のイメージ(机の上の電卓・領収書・明細書・コイン)
  • (1年間に支払った医療費の合計)−(保険金などで補てんされた金額)−(10万円)= 医療費控除額
  • 総所得金額が200万円未満の方は、「10万円」ではなく「総所得金額の5%」を差し引きます
  • 控除額の上限は200万円です

「保険金などで補てんされた金額」とは、生命保険の入院給付金や、健康保険から支給される高額療養費などを指します。これらは差し引く必要があります。

おさえておきたいこと

戻ってくるのは「使った医療費そのもの」ではなく、「医療費控除額に税率をかけた分の税金」です。たとえば医療費控除額が10万円で所得税率が10%なら、所得税で約1万円、これに住民税の軽減分が加わるイメージです。税率は所得によって変わります。

結局いくら戻る?年収・家族構成別の目安

「申請しなければ戻りは0円。では、申請するとどのくらい差が出るのか」——ここが一番気になるところだと思います。実際の還付・軽減額は その年の医療費の合計年収(税率) で決まります。

戻る金額の目安は、次の式で考えます。

  • (医療費の合計 − 10万円)× 税率(所得税+住民税)= 戻る/軽くなる税金の目安

所得税率は年収が高いほど上がり、住民税は一律およそ10%です。下の表は、年間の歯科・医療費が30万円かかった場合と50万円かかった場合の、おおよその目安です。

年収別(医療費の合計が同じ場合)

年収(給与)の目安税率の目安(所得税+住民税)医療費30万円のとき医療費50万円のとき
約300万円約15%約30,000円約60,000円
約500万円約20%約40,000円約80,000円
約700万円約30%約60,000円約120,000円
約1,000万円約33%約66,000円約132,000円

同じ50万円の医療費でも、申請するかしないかで「0円」と「6万〜13万円」の差が生まれる、というイメージです。年収が高い(税率が高い)ほど、戻る金額も大きくなります。

家族構成で変わるポイント

家族構成は、主に次の2つの形で効いてきます。

家族構成のポイント

1. 家族の分を合算できる ——生計を同じくするご家族の医療費はまとめられます。お子さまの治療、ご両親の通院などを合わせると医療費の合計が増え、その分「−10万円」を超えやすく、控除額も大きくなります。 2. 共働きは「税率が高い人」が申告すると有利 ——たとえば家族全体の歯科医療費が40万円で、夫(年収600万・税率約20%)が申告すると約6万円、妻(年収300万・税率約15%)が申告すると約4.5万円。同じ医療費でも、申告する人で戻る額が変わります。

上の表はあくまで 概算の目安 です。実際の税率は、扶養家族の人数・社会保険料・各種控除によって変わり、表の年収と必ずしも一致しません。また年収が低く課税所得が200万円未満の方は、差し引くのが「10万円」ではなく「総所得金額の5%」になります。正確な金額は、国税庁「確定申告書等作成コーナー」で実際に入力するか、税務署・税理士にご確認ください。

歯科で対象になるもの・ならないもの

歯科治療は「治療を目的としているか」が、対象かどうかの大きな分かれ目になります。歯科医師による診療・治療の対価で、一般的な水準を著しく超えない部分は対象です。一方で、見た目を整えることだけが目的の施術は対象外とされています。

区分主な例医療費控除
治療目的の歯科診療むし歯・歯周病の治療、抜歯、根管治療、保険のかぶせ物・入れ歯対象
機能回復・治療目的の自費インプラント、自費のかぶせ物・詰め物、保険外の入れ歯対象になりうる
子どもの矯正発育段階の不正咬合を整えるための矯正対象になりうる
大人の矯正噛み合わせなど機能改善が目的の矯正対象になりうる
美容目的見た目だけを目的としたホワイトニング・矯正対象外
予防・健康増進目的予防目的のサプリ、診断書などの文書料対象外

矯正やインプラントが「治療目的か」「美容目的か」は、お一人おひとりの状況で判断が分かれます。判断に迷う場合は、最終的には所轄の税務署や税理士にご確認ください。当院でも、治療の目的についてご説明できる範囲でサポートいたします(個別の税務判断は税務署の管轄です)【要医院確認:矯正・自費の対応範囲】。

デンタルローン・分割払いも対象になる

「医療費控除は現金で払った分だけ」と思われがちですが、デンタルローン(信販会社の立替払い)も対象です。

デンタルローンのポイント

信販会社が立替払いをした金額は、ローン契約が成立した年 の医療費として控除の対象になります。実際の分割返済が翌年以降に続いても、対象になるのは契約した年です。ただし、ローンの 金利・手数料分は対象外 なので、立替えられた治療費の部分だけを計上します。契約書や信販会社の明細を保管しておきましょう。

歯科医院での分割払い(院内分割)の場合は、その年に実際に支払った金額が、その年の医療費控除の対象になります。

通院の交通費も合算できる

意外と見落とされがちなのが通院費です。治療のために公共交通機関を使って通院した場合の交通費は、医療費控除の対象になります。

  • 電車・バスなど 公共交通機関の運賃 は対象
  • 一人で通院が難しいお子さまや高齢の方に 付き添った家族の交通費 も対象になりえます
  • 一方で、自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外 です
  • タクシー代は、急を要する場合など、やむを得ない事情があるときに限り対象とされます

公共交通機関は領収書が出ないことも多いため、「いつ・どこへ・いくら」をメモしておくと申告がスムーズです。

すぐできる!医療費控除 申告までの3ステップ

「難しそう」というイメージを、具体的な行動に分解してみましょう。次の3つを押さえれば大丈夫です。

ステップ1:領収書と記録を1年分ためる

歯科医院・病院・薬局の領収書を、家族分もまとめて1か所に保管します。あわせて、通院した日と交通費をメモしておきます。領収書は捨てない ——これが一番大切な準備です。

ステップ2:「医療費控除の明細書」にまとめる

1年が終わったら、医療を受けた人・病院ごとに金額を集計し、「医療費控除の明細書」を作成します。健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」を使うと、入力を一部省略できる場合があります。集計ができたら、ステップ1の計算式で控除額を確認しましょう。

ステップ3:確定申告で申請する

確定申告の期間は、原則として 翌年の2月16日ごろ〜3月15日 です。会社員の方など、ふだん確定申告をしていない方が還付を受けるための申告(還付申告)は、その年の翌年1月1日から 5年間 さかのぼって行えます。「去年の分を出し忘れた」という場合もあきらめず確認してみてください。

確定申告では、明細書は提出しますが、領収書そのものの提出は不要 です。ただし自宅で 5年間の保管 が必要なので、申告後も捨てずに保管してください。e-Tax(電子申告)やマイナポータル連携を使うと、自宅から手続きできます。

医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらを使う?

市販薬を多く購入した年は、「セルフメディケーション税制」という別の制度が使える場合があります。これは対象の市販薬の購入額が年間1万2,000円を超えた分(上限8万8,000円)を控除できる仕組みです。

ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか使えません。歯科治療や入院などで医療費がかさんだ年は医療費控除のほうが有利になりやすく、市販薬中心の年はセルフメディケーション税制が向くこともあります。両方を試算して、控除額が大きいほうを選びましょう。

よくある質問

Q. 保険診療しか受けていなくても医療費控除は使えますか?

A. はい。保険診療の窓口負担も対象です。歯科だけでなく、内科や薬局など家族全員の1年間の医療費を合算して10万円(または総所得の5%)を超えれば申告できます。

Q. 歯科以外の医療費も合わせて申請してもいいのでしょうか?

A. はい。医療費控除は歯科に限らず、その年に支払った医療費をまとめて申告する制度です。内科や整形外科などの診療費、入院・手術費、治療のための処方薬や市販薬、通院の交通費などを、歯科の費用と合算できます。むしろ合算したほうが「−10万円」を超えやすく、控除を受けやすくなります。ただし、健康増進や予防が目的のもの(病気が見つからなかった人間ドック・健康診断の費用、予防接種、ビタミン剤など)は対象外です。

Q. 家族の分もまとめられますか?

A. 生計を同じくしているご家族の医療費は、まとめて申告できます。共働きのご家庭では、所得税率が高い方が申告すると還付額が大きくなりやすいです。

Q. インプラントや矯正も対象になりますか?

A. 機能の回復・改善を目的とした治療であれば対象になりえます。一方、見た目だけを目的とした施術は対象外です。個別の判断は所轄の税務署にご確認ください。

Q. 子どもの矯正は対象ですか?

A. 発育段階にあるお子さまの噛み合わせを整えるための矯正は、対象になりうるとされています。診断の内容によりますので、必要に応じて診断書をご用意ください。

Q. 領収書をなくしてしまいました。

A. 再発行ができない場合もあります。健康保険の「医療費のお知らせ」で代替できることもあるため、まずはご加入の健康保険組合にご確認ください。

Q. 確定申告をしたことがなく不安です。

A. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やマイナポータル連携を使えば、画面の案内に沿って入力するだけで作成できます。お住まいの地域の税務署でも相談を受け付けています。

まとめ

最後に、今日からできることを整理します。

  • 医療費控除は、1年間の医療費が一定額を超えると税金が戻る/軽くなる仕組み
  • 歯科では保険診療も、治療目的の自費治療も対象。デンタルローンや通院の交通費も合算できる
  • 生計を同じくする家族の分はまとめて申告でき、還付申告は5年間さかのぼれる
  • まず始めるべきは「領収書と通院記録を1年分ためること」
  • 判断に迷う費用や個別の税務は、所轄の税務署・税理士へ

西大島ハートフル歯科では、「痛くない・安心して通える」治療とあわせて、費用や治療内容についてのご相談もお受けしています。治療費が医療費控除の対象になるかどうか気になる方も、まずはお気軽にお問い合わせください。

《出典》国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm 《出典》国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

石橋 弘行

監修:石橋 弘行

西大島ハートフル歯科 院長

日本抗加齢医学会 / 日本口腔インプラント学会 所属。POIインプラント認定医。

祖父・父に続く三代目の歯科医師。日本歯科大学歯学部を卒業後、歯周病・入れ歯・根管治療など各分野で研鑽を積み、2018年に西大島ハートフル歯科を開院。自身が治療の痛みを苦手としてきた経験から、『痛くない・楽に受けられる・安心して通える』治療を追求し、予防を中心に、自分や家族にも納得して施せる快適で長持ちする歯科医療に取り組んでいます。

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